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 お狐様 続報

 先月、近所に狐が住み着いたらしいという記事を書いた。今日はその続報。

 7月の5日だったか、夕方6時を過ぎたころに例の怪しげな声を聞いたような気がした。その日はカミさんが吹奏楽団の練習で家を留守にしていたので、僕は夕食の準備をするために1階のキッチンにいた。すると2階にいた娘が降りてきて、「狐が向かいの家の駐車場を横切った。しかも子狐を2匹連れたつがいのようだった。」という。確かにそれ以後、2~3日にわたって明け方や夕方に狐と思われる声が聞こえていた。

 前回僕らが見たのは1匹の大人の個体だった。それが今回、家族で行動しているのが確認できたということは、やはり近くに巣穴があるのだろう。しかも繁殖が始まっているとなると、今後、狐を見る機会が増えるかもしれない。

 僕は狐が好きで、しょっちゅうYoutubeの動画を検索したりしているので、ある意味これは喜ばしいことなのだが、現実的に考えると手放しで喜んでいるわけにもいかない。なぜなら本州以南に生息しているのは「ホンドギツネ」という種で、食性は肉食傾向の強い雑食性。つまり狐が繁殖すれば、この地域の生態系が変わる恐れがある。

 僕の住んでいる地域は市街地が近いにもかかわらず、大河川の広い河川敷があることもあって、今までにタヌキ、イタチ、野兎、野ネズミ、ウズラなどを目撃してきた。そのすべてが野生種かどうかはわからないが、そこに狐が加わればただでは済まないだろう。仮に餌が獲れなければ地域の畑や菜園の作物を食い荒らしたり、ゴミ集積所の生ごみを食い散らかしたりする可能性もある。

 もう一つ、狐が持っている寄生虫の問題がある。エキノコックス。これは乾燥して飛散した狐の糞便や虫卵に汚染された山菜、果物、生水を体内に取り入れることで感染する。人間にも感染し、その潜伏期間は10年を超える。その間に肝臓や肺を侵し、最悪の場合死に至らしめる…とまあ、おどろおどろしく書いてはみたものの、これは主に北海道のキタキツネについての話だ。ただし本州以南での症例も散見されるので、知っていて損はないだろう。ちなみにホンドギツネについては「持っている可能性はかなり低いが、ゼロではない」ということで、本州以南ではむしろ他の生物(犬、豚、馬など)の感染例が報告されている。

 狐は最近東京都内でも増えつつある。どうやら大きな河川沿いに下って来るようだ。民家の縁の下や床下に定着する例も見られるようになり、古い家屋や土台の換気口に金網や格子のない家は要注意だという。万が一狐が定着してしまうと、尿や糞便による土壌汚染のほかに、腐敗した食べ残しからハエが発生するなど、衛生面での害があり、現状回復には専門家による作業が必要らしい。当然相応の費用が掛かる。

 ネットには野生の狐が人になつく動画も紹介されているが、餌付けなどは考えないほうがいい。こうした野生動物は、ある程度距離を置いて遠巻きに眺めるのが無難だろう。

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 お狐様

 以前我が家の周辺に狐が住み着いたようだ、という記事を書いた。当時、その根拠は明け方の不気味な鳴き声と娘の目撃談だけだったが、先月、とうとう僕自身が実物を視認するに至った。

 去る5月31日の早朝、僕は耳慣れない鳴き声で目を覚ました。それは文字に起こすなら「ギャア、ギャア」という感じで、知っている野鳥や盛りのついた猫などとは違う声だ。

 枕もとの時計を見ると明け方の4時を回ったところだった。ベッドから抜け出して2階のベランダのガラス戸越しに見ると、外はすでに明るくなっていて、50mほど先の休耕田で、この辺のボスと思しき黒猫が茶トラを追いとばしている。一旦は「なんだ、猫のケンカか」とも思ったが…いや待て。猫は威嚇するときに「ギャア」なんて声は出さない。かの萩原朔太郎曰く、「おわあ」という声だ。

 そんなことを考えているうちに逃げた茶トラが視界に戻ってきた。先ほどは目の隅に捕らえた程度だったのでよくわからなかったが、今見るとトラ柄ではなく明るい茶色一色で、普通の猫より優に二回りは大きい。え、犬か…?いや、犬だって「ギャア」とは鳴かない。それに犬にしては耳が大きい。その時、その生き物が体を真横に向けた。鼻先が長く、尖っている。尻尾はかなり太い。今までに見たどんな犬とも違う。僕は確信した。狐だ。どこかに移っていったと思っていた狐が、今もこの地域に住んでいたわけだ。

 娘とカミさんを起こし、3人で成り行きを見守っていると、しばらくして狐は黒猫とのにらみ合いに飽きたのか、軽い足取りでその場を離れ、そこからさらに100mほど離れた林のほうへと消えていった。その間黒猫は一歩も引かず、その後自分の根城があると思しき方向へゆっくりと去っていった。まさにボス猫の貫禄。あいつは確か半年ほど前、我が家の庭に侵入し、犬走りで日向ぼっこをしていた飼い猫にけがを負わせたやつだ。いわば仇のようなものだが、まあそれはそれとして…しまった!写真を撮るのを忘れた!

 というわけで、僕の住んでいる地域には狐がいる。