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 お狐様

 以前我が家の周辺に狐が住み着いたようだ、という記事を書いた。当時、その根拠は明け方の不気味な鳴き声と娘の目撃談だけだったが、先月、とうとう僕自身が実物を視認するに至った。

 去る5月31日の早朝、僕は耳慣れない鳴き声で目を覚ました。それは文字に起こすなら「ギャア、ギャア」という感じで、知っている野鳥や盛りのついた猫などとは違う声だ。

 枕もとの時計を見ると明け方の4時を回ったところだった。ベッドから抜け出して2階のベランダのガラス戸越しに見ると、外はすでに明るくなっていて、50mほど先の休耕田で、この辺のボスと思しき黒猫が茶トラを追いとばしている。一旦は「なんだ、猫のケンカか」とも思ったが…いや待て。猫は威嚇するときに「ギャア」なんて声は出さない。かの萩原朔太郎曰く、「おわあ」という声だ。

 そんなことを考えているうちに逃げた茶トラが視界に戻ってきた。先ほどは目の隅に捕らえた程度だったのでよくわからなかったが、今見るとトラ柄ではなく明るい茶色一色で、普通の猫より優に二回りは大きい。え、犬か…?いや、犬だって「ギャア」とは鳴かない。それに犬にしては耳が大きい。その時、その生き物が体を真横に向けた。鼻先が長く、尖っている。尻尾はかなり太い。今までに見たどんな犬とも違う。僕は確信した。狐だ。どこかに移っていったと思っていた狐が、今もこの地域に住んでいたわけだ。

 娘とカミさんを起こし、3人で成り行きを見守っていると、しばらくして狐は黒猫とのにらみ合いに飽きたのか、軽い足取りでその場を離れ、そこからさらに100mほど離れた林のほうへと消えていった。その間黒猫は一歩も引かず、その後自分の根城があると思しき方向へゆっくりと去っていった。まさにボス猫の貫禄。あいつは確か半年ほど前、我が家の庭に侵入し、犬走りで日向ぼっこをしていた飼い猫にけがを負わせたやつだ。いわば仇のようなものだが、まあそれはそれとして…しまった!写真を撮るのを忘れた!

 というわけで、僕の住んでいる地域には狐がいる。

作成者: 835776t4

こんにちは。好事家の中年(?)男性です。「文化人」と言われるようになりたいなあ。

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