小春日和
人間ドックを受けてきた。人間ドック、わりと好き。何と言っても、あの非日常感がいい。変態かって?そうかもな・・・。それともう一つ。僕の利用しているメディカルセンターの立地なんだけど、○○水源とかΔΔ緑地の他にいくつかの神社を含む緑地帯に隣接していて、センターの目の前が鬱蒼とした里山みたいになっている。その道ばたで吸う検査後の、つまりその日初めての煙草が最高なんだな(※)。
そんなわけで、その日も検査の後、いつものようにそこで一服した。前日までと打って変わって空は快晴、久しぶりの陽射しが暖かい。こういう日を「小春日和」と言うんだろう。本来ならもっと寒くなってからの用語だろうけど。字面からは意味を理解しにくいけど、言葉にしてみると何ともいい響きで、僕はこの語感、好きだなあ。
一服した後、そのへんを何気なく歩いていたら、森の外周を成す低い土手で、鮮やかな黄色の花があちこちに咲いているのを見つけた。「えっ!タンポポ!?」そう思って近づいてよく見たら、妙に首が長く、春に見かけるタンポポとは種類が違うようだ。だがその茎を下になぞって確認したら、地に這うように拡がるロゼット(放射状に拡がる葉)は紛れもなくタンポポの類いのそれに見える。これ、もしかしたら、タンポポモドキ(ブタナ)かな?
これにはさらにおまけがあって、陽射しの暖かさに騙されたのか、その葉の上で真っ赤なナナホシテントウが遊んでいた。僕はある意味単純なので、これだけでもう、「今日は最高の日になった・・・!」なんて思ってしまう。これなら多少肝臓の数値が高くても、まあいいか、なんてね(いやいや、それはダメなやつでしょう)。
検査の結果、思った通り血圧と肝機能が引っ掛かった。面接で当たったのは初対面の老医師で、何だかすごいことを言われた。「血圧はねえ・・・この数値、嘘っぽいよね。病院とか、ここみたいな場所、嫌いでしょ?だから上がっちゃうんじゃない?家で計ってみた方がいいよ。うん。家で計るのが一番。あ、朝ね、おしっこした後に計るんだよ。おしっこ我慢してるだけで、パーンと跳ね上がるからね。」「肝臓はねえ、お酒やめてもう一度計って、数値が下がればお酒のせいだから。まあ飲むんなら・・・ビールだっけ?1日500㎖以下だな、500㎖。よろしくね。それで、病院行けってなってるんだけど・・・病院行く?なら紹介状書くけど。あの、すごいとこ行かなくていいからね。普通の内科で。」お酒やめてから計るって・・・やめる予定無いんですけど。行きますよ、病院。紹介状ください。
もうちょっとこう、「病院で見てもらわないとヤバイよ」的なことを言われた方が僕もさっさと決心がつくんだが、ここの老医師たちときたら、「そんなことでいちいち騒ぐんじゃないよー」みたいなことばかり言うから、どうも緊張感に欠ける・・・そうか。このほにゃらかとしたやりとり自体、人間ドックが好きな理由の一つなのかもしれないな。でもそれって人間ドックの機能をないがしろにしているようにも思えるんだけど。こんなことじゃ、もしかしたら僕は早死にするかも・・・?
※ 勿論吸い殻は携帯灰皿や自分の車の灰皿に捨ててます。