どうしても毎年見ておきたい光景
今年、3年ぶりに秋田の大曲花火大会が催された。例によってNHKが中継した。せっかくの花火大会だったが、風が無かったのか、煙に遮られてその全容をとらえるのはちょっと難しい状況だったようだ。でもね、本編とは別にどうしても見ておきたい光景があるんです。それはフィナーレのあと、客席のペンライト(あるいはスマホライト)と、川を挟んだ対岸の花火師たちが振る赤い発煙筒の「エール交換」の様子だ。いつから始まったのか、詳しくは知らないが、「見せてくれてありがとう」「見てくれてありがとう」という意味がこもっているらしい。これがなかなかに感動的。今年は3年ぶりということもあって、5分間にわたってエールの交換が行われていたが、よりによってゲストに情にもろいギバちゃん(柳葉敏郎)なんか呼んじゃったものだから、彼、涙でボロクソになっていた。でも、TVのこちら側で見ていても目頭が熱くなるんだから、現場にいたら無理もないか。
もう一つ、紹介しておきたい。それは毎年正月に、これまたNHKが中継する「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」だ。最後のアンコールで、毎年定番の「青く美しきドナウ」と「ラデツキー行進曲」が演奏されるのだが、この時、クラシックの演奏会では考えられないことが起こる。まず「青く美しきドナウ」では、オーケストラがイントロを演奏する。すると演奏中にもかかわらず、客席から大きな拍手がわき起こる。演奏は一旦中断され、オーケストラから新年の挨拶が・・・。その後、あらためて演奏が始まる。そしてこれに続く「ラデツキー行進曲」では、さらにすごい演出が待っている。何と指揮者は登場しながら、つまり指揮台に向かって歩きながら指揮を始め、客席から演奏に合わせて手拍子が加わるのだ。指揮者は指揮者で、楽士たちをそっちのけで客席を向き、観客の手拍子のタイミングや強弱を指揮している。楽士も観客もみんな笑顔。この手拍子はその年の指揮者によってパターンが微妙に異なっていて面白い。まさに会場が一体となって盛り上がる。最後は当然のごとく全員がスタンディングオベーション。拍手が鳴り止むこと無く中継終了。長年親しんできたプログラムなので、最近はもうなんか、これだけ見られれば良いやって気もしてきた。まさに本末転倒。でも、大曲の花火大会といい、ニューイヤーコンサートといい、現場に出向いている人のなかにもそういう人っているんじゃないの?・・・そんな気がする。これはねえ、有名なデザートを食べるためにとりあえずそのレストランのフルコースをオーダーする、そんな行為と似ていると思います。つまり、「アリ!」ということで。
追記 「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」は中継だと元日の夜10時頃、多分ETVかBS。後日再放送もする。放送時間が長いので録画して見ることをお勧めします。