カテゴリー
未分類

 もしかして、それって○○かも…?

 最近聞いていてイライラする宣伝文句がある。「もしかして、それって○○かも」というやつだ。○○の部分には病気の症状や名称が入る。そして「だったらこれ!」と、医薬品やサプリメントを紹介する。

 この「もしかして○○かも」という文言には二つの含みがあって、「効果があるかもしれないから、とりあえず買って使ってみては?」というお誘いと、「効かなかった?じゃあ○○じゃなかったということですね。でも断言はしなかったでしょ?」という言い訳が隠れているように感じる。どちらも売る側には好都合だ。

 もう一つ、使用者の「喜びの声」を伝えながら、「個人の感想で、効果を保証するものではありません」と、ことわりの言葉を添える、というパターンもある。すげー違和感。だったら個人の感想なんか伝えなければいいのに。

 考えてみると、一般的な医薬品の宣伝文句は、昔から効能について断言するスタイルのものが多かった。特に印象深い総合感冒薬のCMに、「かぜの諸症状によく効きます」という決まり文句があった。「かぜに効きます」ではなく「かぜの諸症状に…」と言っているところがミソで、抗生物質が含まれていないから、事実かぜそのものを治す効能はない。だから思わせぶりなことは言わず、「咳、発熱、頭痛などの症状を抑える」という事実だけを伝えているわけだ。これになぞらえて考えると、先ほどの「個人の感想」は「気の持ちようが変わります」ということになるのかな?うーん、さすがに使えないか。

 冒頭で紹介したようなあいまいな表現は、特にサプリメントのCMに多い。これらの商品のなかには、それなりの機関が検査した結果、CMで謳っている効能に何の根拠もなかったり、ひどい例では健康被害事件にまで発展したものもある。そんな時代に商品を売る側が、CMであいまいな表現をするのはどうかと思う。それが医薬品やサプリメントのCMならなおさらだ。少なくとも僕は「それって○○かも」なんてことを言われたら、「売る側がよくわからないんじゃ効果を期待しろと言われてもなあ…」なんて気持ちになってしまう。だから買わない。ほかの人たちはどう感じているのだろうか。

カテゴリー
未分類

 なぜか忘れられない

 最近また思い出した。取るに足らない、でもなぜか忘れられない記憶。思い出すたびに微笑んでしまう。あの二人は、今頃どうしているだろうか。

 それは20年以上前、カミさんと僕が新婚旅行に行った帰りの飛行機でのことだった。僕たちが乗っていたのはDC-10というかなり大型の機体で、座席は横が2ー5-2列の配置だった。僕たちは機首に向かって右側の2列席に座っていた。

 カミさんは当時から乗り物に乗るとすぐに眠ってしまう人で、このフライトでも、僕がタイガを眺めたり映画を見たりしている間、ずっと眠っていた。少々あきれ始めた僕がふと機内に目をやると、同じ列の5列席の中ほどに欧州人と思しき若いカップルが座っていて、やはり女性が眠りこけている。男性が立ち上がって彼女の毛布を直そうとした時、それとは無しに眺めていた僕と目が合った。僕が眠っているカミさんに目をやり、軽く肩をすくめて見せると、彼もそれに応えるように肩をすくめ、(まったく、困ったもんだよね)とでも言うかのように苦笑いをした。

 不思議なことに、その後の彼らの記憶は全くない。同じ成田で降りたはずだが、降りる準備をする様子も、最後にあいさつを交わしたかどうかも覚えていない。ただ、肩をすくめた彼の姿だけが記憶に残っている。

 それだけのことなのだが、どういうわけか何年かに一度、何の前触れもなく思い出す。そしてそんな些細なことでさえ、自分の人生の一部であることに驚く。

 あれから長い年月が過ぎた。彼は今、どこで何をしているのだろう。時折、僕のことを思い出したりするだろうか。元気でいるといいが。