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 断捨離の日々 2 オーディオ

 9月、前回書いた断捨離の第一弾として、長年とっておいた古いオーディオ機器を処分した。その中には高校時代から使っていたテクニクスのカセットデッキや、ヤマハのレコードプレイヤーも含まれていた。その他に中古で手に入れたヤマハのA級プリメインアンプや、テクニクスの1970年代のハイエンドカセットデッキ、イギリスの老舗、KEFのスピーカー等もあったが、いわゆる高級オーディオとは言えないものばかりだ。

 出張してもらったのはTVやネットでCMを流しているよく知られた業者だったが、レビューを見ると「期待した金額ではなかった」という意見も多いようだ。実際キャッチコピーを見ると、「高級オーディオを高く買い取る」ということだから、高級オーディオではないうちのブツは買いたたかれる公算が大だ。

 うちに来た担当者は、こう言っては何だが全然面白みのない若者で、通電確認もしないまま30分足らずで査定を終え、0査定がいくつかあります、それらは買い取れません、という。このクラスのオーディオは相手にしていません、と言われた気分だ。査定額がついたものも思った通りの低価格で、ほーら、やっぱり、という感じ。でも予想していたことだし、しゃあないか。

 「処分が目的なんで、0査定のものも持って行ってくれないかなあ」と頼むと「数も少ないし…わかりました、いいですよ」と言って彼は機材を車に積み込み始めた。最後までビジネスライクで、文句を言われる前に仕事を終わらせたい、と言わんばかりの態度だ。まあ彼の立場だといろいろあるんだろうなあ。それはそれで察するに余りある。

 彼が帰った後、置いて言った現金の半分をカミさんにわたし、「思った以上に安く買いたたかれたよ」と声に出して言ったあと、急になんだか複雑な気持ちになった。別に安く買いたたかれることは覚悟していた。じゃあなぜこんな気持ちになるんだ?しばらく考えているうちにその理由が分かった。

 前記したテクニクスのカセットデッキとヤマハのレコードプレイヤーは、今は無き親父と高校生の僕がさんざんカタログを調べ、予算内で最善と思われるコンポーネントを組んだ、その一部だ。カセットデッキはしばらくしてCDに取って代わられ、出番を失くしたが、レコードプレイヤーは2000年に入ってからも使っていた。いわば人生を共に生きてきたようなものだ。でもそれはあくまでもこちらの事情で、当然査定にはかかわらない。要するに、自分の思い入れには何の価値もない、と言われたような気がして、僕は静かに憤慨していたんだ、多分。

 僕がいわゆる買い取り業者を利用するのは今回が初めてだ。今まではカメラの下取りしか利用したことがなかったが、その時は専門的な知識のあるスタッフと楽しくやり取りしながら、納得のいく売買を進めることができた。今回のオーディオについても、もしこちらが納得できるやり取りをした上で話がまとまれば、結果が同じでもこんな気持ちにはならなかったかもしれない。今回やってきた若者は、おそらく会社の作った買取マニュアル通りに動いていただけだろう。そこには無駄なやり取りが一切なかった。人間力の欠如とは、つまりそういうことだ。