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 ニコンZfその後

 Zfを購入して10か月が過ぎた。もともとなじみのあるサイズとボディ形状なので、大分手に馴染んできた。普段からリビングに転がしておいて、ふと目に入ると思わず手に取ってみたりする。うん、いい感じだ。昔使っていたF3を彷彿とさせる。だがもちろんいいことばかりではない。使い込んでみて、新たに分かった欠点もある。

 僕がデジタルビューファインダーを好まないことは以前にも書いた。だが最近では、それ以上にアイポイントが低いことが気になっている。アイポイントとはファインダー像が欠けること無く見える、ファインダー接眼部から眼球までの最遠距離のことだ。僕のように眼鏡を常用しているものにとって、この数値が低いことは致命的だ。せっかく視野率が縦横共にほぼ100%なのに、ちょっと惜しい気がする。

 往年の名機、F3には「ハイアイポイント・ファインダー」なるものが用意されていて、ある時期からこれが標準装備された。ファインダーの倍率を少し落とし(0.8倍→0.75倍)て、アイポイントを25mmに設定したものだ。これによって眼鏡をかけていてもファインダー像をケラれ(欠け)無しに見ることができるようになった。

 僕のメイン機であるDfはこれらの数値が0.7倍/15mm、それに対してZfは0.8倍/21mm。数値的にはZfのほうが上だが、どういう加減かファインダーはZfのほうが使いやすい。おかしいな。もしかしたら倍率のほうが重要だったりして。

 ついでにもう一つ、これはビューファインダーを使うミラーレスカメラの宿命なんだろうけど、やたらバッテリーの消耗が激しい気がする。感覚的に言うとDfの半分ももたない。これなら開き直ってZfcを使ったほうがまだ納得がいく。

 あれこれ書いたが、現実はどうかというと、なぜかZfの使用頻度が1番高い。理由もわかっている。要するに「右手が喜んでいる」のだ。つまり写真を撮ろうとカメラを手に取ったときに、その重さや形状に右手が納得している、ということだ。そして次にファインダーを覗いて「あぁ、くそ!」と思う。

 これが仮に、最初の挙動が「ファインダーを覗く」だったら、その時点で「あぁ、くそ!」と思い、「次に手に取る」という動作をしないかもしれない。だがもちろん、写真を撮ろうと思い立ち、カメラを手に取る前にファインダーを覗くことなんて有り得ない。要するに僕は右手の意見に流され、たとえ右目が抗議の声を挙げてもそれを無視して、写真を撮るという行為を完遂しているのだ…僕はいったい何の話をしているんだ?

 つまり、僕はZfを初めて手にした時、その感触が気に入って購入したので、ファインダーについては目をつぶります、でも時には言いたくもなるんですよ、というのが今回の趣旨で…えーっと、これって単なる愚痴ですよね。付き合わせてすみませんでした。

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 結局、そうなるんだよ 後編

 (前回からの続き)さて、意を決して、いざ「カメラのキタムラ」へ。今回査定してもらうのは、20年前に清水の舞台から飛び降りるつもりで購入したわりには、一向に出番のなかったライカMPを含む3台。これらを下に出して支払いが70,000円を下回れば、Zfが買えるかも。そんなふうに考えていた。

 30分ほどかけて念入りに査定してもらった結果、提示された金額は僕の予想をはるかに上回っていて、正直驚いた。やっぱりライカは強いなあ。それに聞くところによると、買い取りではなく下取りの場合、査定額がプラスされるらしい。さらにただいまキャンペーン中につき上乗せ分があるということで、要するにすごくいいタイミングだったわけだ。そうなれば話は早い。

 気を良くした僕は、Zfレンズキット(Z40mmF2)にZ24~70mmF4SズームレンズとFマウント用アダプター(手持ちのレンズはほとんどFマウントなので)、さらにバッテリーチャージャーと予備バッテリーまでつけてもらい、支払額は33,430円に落ち着いた。さらに今ならニコンのキャッシュバックキャンペーンで35,000円返ってくるという。ということは、1,570円のプラスになる。これはいい買い物をした。というかほぼ物々交換だ。まるで縄文人になった気分だ。

 というわけで今、目の前にZfがある。せっかくだからF3(アイレベルファインダー)を出してきて、横に並べてみた。数字のデータではなく、印象を比較してみたかったからだ。

 まず横幅はF3のほうがほんの少し長いようだ。高さはボディ自体Zfのほうが高く、そのせいでかなり大きく見える。奥行きは、ボディ上部のカバーはほぼ同じなのだが、裏面はその下が数ミリ張り出しているので、Zfのほうが少し厚めだ。バリアングル液晶モニター部はさらに張り出していて、かなり嵩張っている。各部の作りはF3のほうが手が込んでいて高級感があり、さすがは往年のFシリーズ、といったところだ。

 Zfの全体のイメージは、大まかにコピーされたF3のボディにFM2のペンタ部をリニューアルして乗せた感じ。シンプルかつマッシブで、F3より若干大きめだ。もとになったFM2よりは優に一回り大きい。要するに、Zfは画像で見るイメージより大きいカメラなのだ。これはちょっと意外だった。だが長年F3を愛用してきた僕の手には良くなじむ。ちなみにボディの重さはF3とほぼ同じ。うん、悪くない。

 ちょっと残念なのは、F3やDfのボディに見られるMADE IN JAPANの表記がないこと。タイで作られているんだから当たり前だが、やはりここはこだわりたいところだよなあ。でも前回ララァが教えてくれたように、時代に合わせて人も変わっていかねば。ちなみに、やけにララァが出てくるけど、好きなキャラはセイラさんです、念のため。

 さて、そんなわけで紆余曲折の末、Zfは発売後十か月余りで購入と相成った。少しでも気になったカメラは、つまりそういうことになる運命なのですね。

 Zfはボディの高さがかなりある。写真ではわかりにくいが全高もZfのほうが高い。横幅はF3のほうが数ミリ長い。
 上部カバーからはみ出した裏面のボディと、さらに厚みのある液晶モニター部が見える。上から見ると、かなりゴツいイメージだ。

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 結局、そうなるんだよ 前編

 昨年の10月、ニコンのミラーレスカメラ、Zfが発売された。往年の名機、FM2に寄せたそのデザインが多少気になってはいたけど、その頃の僕はミラーレスカメラには全く興味がなかった。

 僕は光学ファインダーの信奉者なので、現在はニコンDfを愛用している。ミラーレスカメラに搭載されている電子ビューファインダーは、そのファインダー象に違和感があって一向に馴染めない。だからZfが発売された時も、あれは僕が持つべきカメラじゃねえな、といった印象だった(同じくミラーレスのZfcを使ってはいるが、あれは僕の中では別枠で、「ちょっとおっきいけどいろいろと便利なコンパクトカメラ」といった位置づけだ)。

 Zfは発売前から予約が殺到したらしい。一か月待ちは当たり前で、店頭のディスプレイも当初は実物大の写真ボードだけだった。半年ほどたってやっとディスプレイモデルが展示されるようになり、近場の家電量販店で何気なく手に取ってみたとき、僕はあることに気づいた。

 以前Dfの記事の中で、そのデザインから想像するに、近々F3に似せたデジタル一眼が出てくるかもしれない、と書いたことがあるが、Zfを手にした時の感触は、なぜかF3にとてもよく似ていた。F3といえば僕が最も長く愛用したフィルムカメラで、当時の金属製カメラとしては珍しく、ボディにグリップ状の出っ張りがあった。よく見るとZfにも同じようなグリップがある。なるほど、それでか。

 Zfのカタログには「FM2から着想を得た外観」と書かれているが、デザイナーが本当にFM2にこだわったのならこのグリップはなかったはずだ。そう考えると、確かにペンタ部(上部の三角形の張り出し)のデザインは違っているものの、全体的なフォルムはF3に似てなくもない。もしかしてこのカメラ、実質的には僕が予想していた「なんちゃってF3デジタル」なのではなかろうか。そう思った途端、急に興味がわいてきた。これはまずい。欲しくなったらどうしよう。

 あらためてカタログデータを調べてみると、センサーはフルサイズでボディは金属製。いいね!…いやよくないぞ。この流れはよくない。だがファインダーが僕の嫌いな電子ビューであることは動かぬ事実だ。ところがここでなぜか突然、僕はジオン公国軍パイロット、ララァ・スン少尉の言葉を思い出した。「機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙」のなかで、彼女は確かこう言っていた。「人は変わっていくわ…私たちと同じように。」

 さて、気持ちが前向きになったところで(!!!?)、新たな問題が。そう、予算の問題だ。以前Dfを購入したとき、僕は後先考えずに行動した。だがあの頃と今では状況が違う。どうする?いや、タクシーは呼ばなくていい。

 実は今年、僕は長年にわたってため込んだカメラの断捨離を始めた。今までに4台のカメラを買い取り業者に売り払い、ちょっとした小遣い稼ぎをしてきたが、値段の折り合わなかったカメラがまだまだ残っている。これらを下に出せば、あるいは手持ちの予算でZfが手に入るかもしれない。幸い車で10分ほどのところに「カメラのキタムラ」がある。確か下取りもしていたはずだ。思えばここ10年ほど、「カメラ店」を訪れたことがない。久しぶりに専門店を覗くのも楽しいかもしれない。(つづく)

 右がFM2と同系列のFM3A。比べてみるとZfはかなり大きいイメージだ。
 右がF3。特徴的なペンタプリズムのカバーとグリップの赤いラインが目を引く。ZfはF3と比べてもまだ大きい。グリップの形状はF3のそれを踏襲しているように見える。