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 サンドイッチと鯛焼きの尻尾

 以前何かの記事で読んだんだけど、外国人観光客にはコンビニの弁当やサンドイッチが不評なんだって。「えー、サンドイッチなんて、結構美味しいのに・・・」と思いつつ読み進めていくと、どうも味の問題とかじゃなくて、たとえばサンドイッチについては「表の断面は具がいっぱい詰まって見えるのに、裏側は尻つぼみでごまかされた気分になる」ということらしい。じゃあ、弁当はどうかというと、多少上げ底になっているのが気になるんだそうだ。でもあれって、樹脂の容器に詰めた温かいご飯が冷めるにつれて出てくる水分を逃がす工夫でもあるよね?その証拠に、全面が上げ底というわけではなくて、周囲が雨樋のように余分な水を逃がす(ためる?)構造になっていたりする。昔はご飯をわっぱに詰めて、素材の木に水分を吸わせていたようだけど、樹脂の容器じゃそうはいかないもんね。要するに米が主食の文化ならではの工夫なんだろうけど、どうもパン食で合理主義の欧米人にはそのへんが理解できないらしい。サンドイッチについては説明がもっと面倒だ。

 日本には鯛焼きという軽食(?)があるが、大分前に「尻尾にも餡を入れるべきか?という論争があった。あの時は「最後は口直しとしてさっぱりと皮だけを食べる、そのために尻尾には餡を入れない」という考え方と、「みみっちいことは言わずに尻尾まで餡を入れた方が贅沢で良い」という考え方が真っ向からぶつかった。どう結論が出たかは定かではないが、今売られている鯛焼きを鑑みるに、「尻尾まで餡」派に軍配が上がったんだろうなあ。実を言うと僕は「尻尾は皮だけ」派なんだけど。

 「お口直し」の文化はどちらかというと感覚的で、とても日本的だと思う。たとえば寿司屋で大トロを食べた後、あがり(お茶ですね)を飲めば、魚の脂肪は融点が低いから、綺麗に洗い流されて口の中がさっぱりするし、同じような意味でガリを囓るという手もある。実はフランス料理の世界にも「口蓋洗浄」なる用語があって、これは食事の最中に新しいワインのボトルを注文したときなどに、そのワインの味を確かめるために水またはパンを飲食することで口蓋(要するに口の中)を洗浄して、前に食べたものの後味を消し去ることを言うんだな。やってることは似てるのに、どちらかというと理論的。それを考えると、ハムサンドなんかを食べた後、タマゴサンドに移る前にパンの割合が多い部分を食べることで同じような効果が期待できる・・・事も無いか。そもそもサンドイッチって、口蓋洗浄が必要なほどの料理でもなさそうだし。1パックまとめて頬ばれば、何はともあれミックスサンド、なんちゃって。何だか理屈が破綻してきたな。

 いずれにせよ、フレンチのコースディナーの後にこってりしたデザートを食べるような文化からすれば、日本の「お口直し文化」は理解できないかもしれんよなあ。でも僕なんか、コンビニのサンドイッチを食べて「ごまかしだ」と思ったことは一度もない。だいいち、今の体裁は具もこぼれず食べやすいし、手も汚さずに済む(多分それもねらいの一つ)。家で作ってもだいたいあんな感じになるし、全体のバランスで言っても、具が少ないと感じることはほとんど無いなあ。

 結論から言って、コンビニのサンドイッチや弁当のパッケージにはそれなりの工夫がなされているわけだから、文化論は置いておくとしても、ちゃんと説明した方が良いような気がする。ホント、誰か言ってやってくださいよ(テメーで言えってか?)。

作成者: 835776t4

こんにちは。好事家の中年(?)男性です。「文化人」と言われるようになりたいなあ。

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