日本人として
28日に餅をついた。と言っても、カミさんの実家での話だ。
僕の生まれ育った家では餅をつく習慣はなかったのだが、結婚して、兼業農家であるカミさんの実家とのお付き合いが始まってからは、毎年のように餅つきに便乗させてもらっていて、兄の家族も車で1時間あまりの距離を厭わずに駆けつける。以前は任せっきりの部分が多かったが、今ではその作業の半分近くを僕の家の者がするようになった。ほぼ1日がかりの行事なので、昼はついたばかりの餅をいろいろな味付けで食べる。これが美味しい。
当日は朝から雲が多く、寒さが心配だったが、昼前から青空が広がり始めた。そういえば餅つきの日が荒天だった記憶がない。僕は餅米を蒸す担当なので、年季の入ったかまどが設置してある、薄暗い小屋の中で火の番をする。そのせいか、小休止や昼食の時に見上げる空の青さは目にしみるようだ。遠くに見える葉をすっかり落としたケヤキの大木が、まるで空を掃除する竹箒のように枝を伸ばしている。いつもより、時間がゆっくりと過ぎていく。そんな空の風情を眺めながら、例年のように具だくさんの田舎雑煮をすすっていると、この国に暮らす者にとっては、こういう生活が本来なんだろうな・・・そんな気がした。
何はともあれ、新しい年が穏やかな良い年になりますように。