クリスマスの奇跡
「クリスマスの奇跡」というワードで検索すると、必ず引っかかってくる話に「クリスマス休戦」というのがある。これは紛れもない実話で、第一次世界大戦中、1914年のクリスマスイブに西部戦線で起こったこと。簡単に言うと、ドイツの陣地から聞こえてきた「きよしこの夜」をきっかけに、イギリス軍もこれに加わるなどして、双方の将兵が自発的に停戦状態に入った(一説によるとフランス軍も参加?)。彼等は塹壕を出て食べ物や酒を交換し、英語のわかるドイツ兵が多かったことから、親しく交流した。25日には野ざらしになっていた戦死者の合同葬儀を行い、サッカーの試合までしたという。ちなみに2014年にはこの出来事の100周年を記念して、ベルギーで現代の英軍と独軍がサッカーの試合を行ったそうだ。また英国では毎年記念試合を行っていて、会場では当時の軍服を着た観戦者も見られるという。
詳しいことはネットで簡単に見つけられると思うので割愛するが(クリスマスの奇跡・クリスマス休戦で検索)、最近の映画「戦場のアリア」にも詳しく描かれている。勿論映画なのでかなり脚色されているが、雰囲気はよく出ている気がする。ユーチューブにも関連する動画(もとはCM?)がUPされているようだ。当時撮影された写真も残っていて、これもすぐに見つかる。感動的な話なのだが、ちょっと考えさせられることもある。
「戦場のアリア」で、イギリス軍の新兵を送り出す神父が神のご加護について言及するシーンがある。神は君たちの味方で、敵は神に逆らうものたちだ、的なことを蕩々と言って聞かせるのだ。多分現実的にも、このような場面はあったに違いない。だが軍事マニアでもある僕は知っている。敵であるドイツ軍の軍服の一部である革製のベルト、そのバックルには「神は我々とともにあり」と書かれている。うーん。じゃ宗教って何なんだろう?ただの便法なんだろうか。
この休戦のことを聞いた両軍の上層部はかんかんだったそうだ。だが、キリストの誕生日に自らの判断で戦いを止め、祝った現場の将兵たちのほうがよほど筋が通っている気がするんだけどなあ。