日和見クリスマス
さて、今年もクリスマスがやってくる。我が家では11月の末から少しずつその準備を進めている。
デパートやショッピングモールに出向き、プレゼント用の包装紙やらコレクション用のクリスマスカードやらを探す。だが今年はほとんど手ぶらで帰宅する羽目になった。別に驚きもしないけど。というのも、ここ数年クリスマス用品はかなり低迷していて、包装紙は夢のないものばかりだし、カードは新作がほとんど入ってこない。
今から20年ほど前、日本は空前のクリスマスブームで、TVでは数多くの特集が組まれ、デパートやショッピングモールでは信じられないほどの面積のクリスマスコーナーが設営された。素敵な包装紙が山のように用意されていて、使いきれないほどの量を買い込んだものだ。だがこのブームは10年足らずで次第に衰退し、今ではクリスマス用品と正月用品の売り場が同じ時期に併設され、その両方を合わせても以前の広さには遠く及ばない。
包装紙も3~4種類しかなく、気に入ったものを見つけるには店をハシゴしなければならないし、それでも見つからないことのほうが多い。まあ、地方都市だからねえ。
娘が二人とも成人し、我が家には「子供」がいなくなったが、今でもプレゼントの習慣は残っていて、家族分のプレゼントのほかに飼い猫のためのものも用意する。それでもビジュアルとしては少々寂しいので、ダミーのプレゼントボックスも作る。そのために包装紙は必需品なのだが、これがどうもよろしくない。最近のものはお洒落ではあるが夢がない。
じゃあ、いったい何が変わったのかというと、まずその絵柄がサンタクロースやモミの木、ヒイラギなどを具象的に表現したものから、雪の結晶などをデザイン化した、冬であればクリスマスでなくても使えるような汎用性の高いものへと変わってきた。再生紙の色合いを生かしたレトロな感覚のものも増えてきたが、これは「古き良き時代のクリスマス」とはちょっと違う気がする。
クリスマスらしい包装紙がないわけではないが、古き良き時代の面影のあるものは専門店にしかなくて、しかもそのほとんどが50枚単位での販売、なんてものばかりだ。気に入ったものが3種類ほどあったが、全部購入すると150枚。バカみたいな話だ。勿論そんな酔狂はしない。したいけど。
20年前は単品や2枚組で良い包装紙が買えた。10年前はアマゾンで海外から取り寄せることで何とかしのいだ。今はどこを探しても昔のような包装紙は見つからない。ちょっと寂しい。
仕方がないのでとってあった昔の包装紙の切れはしを引っ張り出してみた。これは僕の悪い癖で、気に入ったものは何でもため込んでしまう。だが今になってみると、こんな紙切れにもそれぞれに思い出があったりして、なんだかちょっと楽しい。でもこんな包装紙を新品で見ることはもうないかもしれないな。良くも悪くも日本でのクリスマスやハロウインは、本場と違ってどうしても日和見的になりがちだ。まあ仕方ないか。
なんだかんだ言ってもそれが個人的な価値観でしかないことは重々承知の上だ。でも世の中に「クリスマスマニア」という言葉があるからには、僕のような気持ちの人が一定数いることは確かだろう。


