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 夏の総括

 この夏はやることが多くて、あまり原稿を書けなかった。例えば積極的に自分好みの夏を演出しようと庭に大輪のひまわりやタチアオイを植えたり、例年より多くの夏野菜を栽培してみたり。おかげでナス、ピーマン、キュウリは一度も買わずに済んだ。ただし収穫量が多すぎて、食事が単調になりがちで、冷やし中華(キュウリ)と野菜天ざる(ナス、ピーマン)とチンジャオロースー(ピーマン)ばかり食べていた気がする。

 その他にも大葉やモロヘイヤ、長ネギなども作って食べたが、「今日の夕飯は何にする?」どころの騒ぎではなく、「今日はナスとピーマンを減らそう」などという会話を毎日のようにしていた。おまけに娘はナスもピーマンも苦手で、結局おかずを2品作らなければならず、食費は大分浮いたものの、手間は倍増した気がする。

 今年、僕の住んでいる地域はそれほど猛暑に見舞われることもなく、「今日は昭和の夏みたいだな」というセリフを何度も使った。例年の猛暑に慣れた体には、湿度さえ低ければ「気温30度、やや風あり」といった環境はむしろ快適だった。ところが8月の後半、長野への旅の途中で立ち寄った「富岡製糸場跡」ではいきなり35度超の炎天下を歩かされ(屋外の移動が多い)、どうやら軽い熱中症になったらしい。何しろ富岡を後にする頃には、車の示す外気温が38度を超えていたもんなあ。幸い大事には至らなかったが、完全に体調が戻ったのは9月に入ってからだった。

 この夏、ちょっと残念だったのがスイカ。今年は美味しいスイカに当たらなかった。特に夏の終わりに食べる東北産のスイカは絶品なんだけど、今年はそもそも東北産に出会うことがなかった。むしろ北海道産のスイカのほうが目について、1度食べてみたがどうも感心しない味だった。東北産のスイカはが入ってこないのには何か理由でもあるんだろうか。

 そういえば、夏前からうちの庭に飛来していた30羽ほどのスズメたちは、7月の末には子育ても終わり、稲の穂に実が入る頃には3~4羽ぐらいになって、それも「今日は餌が少なかったのでちょっと寄ってみました」といった様子で来る程度になった。ただ、今年は9月に入って新たな親子連れが数組来たのでちょっと驚いた。調べてみると、春から夏にかけて2回ほど繁殖期があるらしいから、これらは後発組の雛だろう。10月に入った今も、独り立ちが十分できていないスズメが3~4羽庭に来ている。例によって餌を食べるのが下手くそで、見ていてハラハラしてしまう。去年もこんなふうだったんだろうか。全然気づかなかったなあ。

 昨年猛威(?)を振るった西洋種の朝顔は、今年勝手にこぼれた種から発芽して、花は小ぶりながら今も東側のフェンスの半分を占拠している。来年はもう少し日本の朝顔を増やそうと思う。花の色もさることながら、切れ込みのない葉(西洋種は葉が三つに分かれない)が茂るのを見ていても、なんだか物足りない。葉の形がこれほどまでに朝顔のイメージを決定づけているとは夢にも思わなかった。

 夏の後半から原稿をさぼっていたら、あっという間に10月になってしまった。今日は16日。そろそろ枝払いの準備を始めようか。

 フェンスから立木へと侵食。写ってはいないが、この左側も西洋朝顔だらけ。花の色が安っぽく、葉の形も朝顔独特の切れ込みが見られない(写真で分かるかな)。別の植物みたい。

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 6月のスズメたち

 ここ数年、6月は庭にやってくるスズメを眺めながら暮らしている。春に生まれた雛が独り立ちする時期に当たっているので、一つの群れの中にいろいろな行動パターンが見られ、特に子育ての様子や、やっと自力で飛べるようになった小さな雛たちが少しずつ成長していく様は見ていて何ともほほえましい。

 この時期はまだ成鳥と雛の見分けがつきやすい。顔の部分の色が薄いのが早い時期に生まれた若鳥で、嘴の端にまだ黄色みが残っていて、ふっくらした体型の個体は遅く生まれた雛だ。冷蔵庫で2日ほどおいて固くなったご飯を庭先に撒いてやると、親子で飛んできて、口移しでご飯粒をもらっている。飛べるようになってもしばらくは親鳥に食べさせてもらうわけだ。加えて今年は、雨の日に成鳥がご飯粒を口いっぱいに咥えて飛び去る様子が何度も見られた。おそらくまだ飛べない雛のために親鳥が巣に運んでいるのだろう。

 興味深いことに、親子連れは他の成鳥の食事が終わった頃を見計らって降りてくることが多く、餌に群がる成鳥の勢いに気おされて(かどうかは本人に聞いてみないとわからないのだが)、時間調整をしているように見える。これが一般的な傾向なのか、この群れの特徴なのかはわからない。

 こうした時期が過ぎると、雛がいくら鳴いても親は餌を運ばなくなる。仕方なく自力で餌を食べるようになるのだが、まだ上手に食べることができず、成鳥が梢に戻った後も地面のあちこちで食べ続けていたりする。雛たちが最も無防備になる瞬間で、後述する理由から見ている側も気が気ではない。

 ところでこの時期の雛は、餌をくれる人間に警戒心を持たなくなるようだ。それどころか、時には近くまで寄ってきて催促したりする。ご飯を撒いてやると手元まで寄ってきて食べることもあり、実に愛らしい。が、これは困ったことでもある。人里で共存しているとはいえ、スズメは自然の一部であると考えるべきだろうし、うちの庭は地域猫の通り道になっているので、あまり警戒心を鈍らせるとスズメたちを危険にさらす恐れがある。加えて今年は、敷地内で体長1メートル近くあるヤマカガシ(蛇の一種)をすでに2度目撃しているので、これも心配の種だ。ネットの動画では、手に乗ったり、手の中で眠りこけたりしているスズメをよく見かけるが、少なくとも我が家の環境ではそこまでやるのは行き過ぎだろう。

 さて、スズメたちだが、盛夏の頃には今年生まれた雛たちも成鳥と見分けがつきにくくなってくる。そうなればもう一人前だ。その頃には庭に咲く夏の花々の手入れや、隣に借りた畑で育てている夏野菜の収穫が忙しくなる。そうなるとスズメどころではない。カラスが収穫前の野菜を狙って集まってくるからだ。

 正直なところ、カラスだって腰を据えてじっくり付き合えば、それほど悪い奴だとは思わない。だが利害が絡む以上甘い顔はしていられない。今年生まれたスズメたちが独り立ちした後は、カラス対策に追われる毎日だ。こんな風にして、僕の夏は過ぎていく。

 リビングの目の前に勝手に生えた野ばらの枝でおねだりするチビ(仮)。ふっくらとした体形で、嘴の端がまだ黄色い。距離は2メートルもない。