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 鉄道150年

 このところやけに鉄道がらみのTV番組が多いと思ったら、今年は鉄道150年に当たるんだそうだ。そうか、あれからもう50年経つのか・・・。何を隠そう僕は、昔鉄道ファンだったのだ。今で言う「撮り鉄」というやつだ。なぜ「昔は」なのかというと、僕の興味がSLに特化していたからだ。

 今でもSLが牽引する特別列車はあるが、綺麗に磨いてあったり、お化粧してあったりでどうも食指が動かない。あの頃はちょうど鉄道100年を迎えようとしていた時代で、地方にはまだ貨物列車などをSLが牽引している路線が残っていた。僕が小学生だった頃のことだ。

 あるとき、知り合いのおじさんが羽越本線のSLを撮りに行くというので、一緒に連れて行ってもらうことにした。当時のことだから、上越線の寝台急行で新潟県の新津まで行き、明け方羽越本線へと乗り入れる。まだ架線用の電柱も立っていない区間が多く、客車はディーゼル等の、いわゆる気動車がメインで、貨物列車をSLとディーゼル機関車が担っていた。SLが引く旅客列車もわずかに運行していて、運が良ければ乗車することができた。

 僕たちは新津からほど近い「坂町」駅周辺で朝から数時間撮影し、その後北上して「桑川」~「今川」間を線路沿いに歩きながら、通り過ぎる列車を狙った。この道は鼠ヶ関街道といって、岩山が海岸まで迫り、北上する場合右手にトンネルだらけの線路、左手には美しい日本海が拡がっていて、「笹川流れ」「眼鏡岩」といった景勝地が点在する、歩いていて飽きないルートだった。海の色は、周囲の岩山が砕けてできた黄色みがかった砂に起因するエメラルドグリーンで、太平洋側に住む僕にとっては初めて見る海の色だった。

 最終的に山形県の坂田まで足を伸ばし、そこで1泊。翌日は往路を逆にたどり、1日かけて帰ってくるという、ある意味強行軍だった。それでも僕は、まるで生き物のような息づかいを感じさせるSLにすっかり魅了されてしまった。1年後に再び羽越本線を訪れたのを皮切りに、中央西線、小海線、陸羽東線、水郡線(特別運行)、青梅線(特別運行)と矢継ぎ早に足を運んだ。その間に父親を抱き込み、写真集も買い集めた。中でも気に入っているのが、鉄道写真家である広田尚敬(ひろたなおたか)氏の「四季のSL」という写真集。これはあくまで個人的な意見だが、「四季のSL」は単なる鉄道写真というより、「SLが映り込んだ風景写真」であったり、「地域の住人とSL」といった体(てい)の作品が多く、巻末の情感溢れる解説文と相まって、完成度の高い1冊。1971年に朝日新聞社から出版された。広田尚敬氏は今も現役で、TVでもたまに見かける。昔はやせ形の長身(当時としては)で、芸能人のような容貌だったが、今は優しい笑顔が印象的な好々爺、といった感じ。まあ、ご高齢(86歳?)だから無理もないけど。

 さて、僕はといえば、最後の撮影は2014年で、水郡線での全通80周年記念の特別運行。比較的大型のC61が来るというので勇んで出かけたが、予想どおり人が多くて、とりあえず撮りました、という感じ。前回(50年前)、鉄道100年記念の特別運行を撮影したときは8620型という大正時代製の軽量なSLだったのだが、これは当時の水郡線が2級幹線であったため、大型のSLが入れなかったからだと聞いた覚えがある。いつの間にC61ほどの重量級SLが運行できるようになったのだろう。もしかすると、例の東日本大震災のあと、復興のさいに改修されたのかもしれない。水郡線(茨城県水戸駅~福島県郡山駅、非電化)は僕にとって近場なので、C61のような大型機が入れるのであれば、今後がちょっと楽しみだ。ただ、最近の一部の撮り鉄たちの暴挙を見ると、腰が引けてしまうのも事実なのだが・・・。

 尚、当日走ったC61の20号機(C6120)は、JR東日本高崎車両センター高崎支所の所属で、当時群馬県を中心に、旅客列車の牽引機として活躍するとともに、多くの出張運用も行っていて、水郡線に来たのもその一環だった。

追記 初めて行った羽越本線の坂町駅で出会ったSLのなかに、D51の101号機(D51101)がいた。2回目の時もいた。その数年後、中央西線の中津川~南木曽で再会したのには驚いた。いつの間に回されてきたんだろう。ここでは一時、「鉄道101年」に因んで、青いナンバープレートをつけて旅客列車「快速木曽路」号を牽引していた。

 今この記事を書きながらふと思いついて検索してみたら、彼女の記事は予想外に多く、昔「オオタキ」が出していたD51のプラモデルが101号機だったり、さらに今では静岡県島田市の中央小公園に静態保存されていることもわかった。画像を見ると、最近保存会ができたこともあって、状態もまあまあのようだ。懐かしいなあ。是非とも一度、会いに行きたい。

作成者: 835776t4

こんにちは。好事家の中年(?)男性です。「文化人」と言われるようになりたいなあ。

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