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 ウスターソースの進化

 このところ話題が料理づいているけれど、今日はウスターソースについて。だが、イギリスはウスターシャー州出で生まれたからウスターという名前なのだとか、ある主婦が野菜くずその他をポット(容器)に入れたのを忘れてほっといたら勝手にできあがっていたとか、そんな話をしようというのではない。日本のウスターソースは、発売以来格段の進化を遂げているようだ、というお話。ただし、あくまでも「個人の感想です」から、何の信憑性もありません。そこんとこ、よろしく。

   そもそも僕は、ウスターソースなる物があまり好きではなかった。その昔、カレーにかけたのは醤油だったし、トンカツも醤油マヨ(僕はマヨラーでもある)で食べるのが好きだった。あるとき、「トンカツソース」というものが存在するのを知り、それ以降はかなりの割合でこれを使うようになった。現在ではかなりの種類の「ソース」なる物が存在し、我が家にもほぼ3種類のソースが常備されている。ウィキペディアによれば、その粘度によって、「ウスターソース」「中濃ソース」「濃厚ソース(トンカツソースはこれに含まれる)」の三種類に分類されるそうだ。

   僕がウスターソースを敬遠したわけは、当時のウスターソースに含まれていたヨード臭が嫌いだったからだ。これは今でも苦手で、例えば僕はウイスキーだとスコッチ、それもモルトウイスキーを好むのだが、それでいて「ボウモア」のような、海藻由来のヨード臭があるものは苦手だ。いくら「通好み」と言われても、いまだに飲む気になれない。そんなわけで、僕のソース歴(?)はほとんど「トンカツソース歴」であった。

 あるとき、あるカクテルを作るためにウスターソースを購入する機会があった。そのカクテルとは、「レッド・アイ」。ビールをトマトジュースで割っただけの簡単なカクテルなのだが、そのレシピには、仕上げとして「レモンを搾り、お好みでウスターソースやタバスコを加える」とある。このカクテルは、もともと二日酔いの朝(目が充血して真っ赤=レッド・アイ)に迎え酒として飲むもの。だからビタミンを加えたり、刺激物を加えたりするらしい。それをやってみたくて、何十年かぶりにウスターソースを購入したのだ。そして発見した。今のウスターソースにはきついヨード臭がないことを。ためしに自家製コロッケにかけてみた。美味しい。次にトンカツに、辛子を添えて使ってみた。美味しい!いったいいつからこの味だったのだろう。僕はいったいどれぐらいの時間を無駄にしたのであろうか(大げさな)。 ここからが個人的な見解になるのだが、けっして僕の味覚が変化したわけでは無いと思う。確かに格段に美味しくなっている気がする。特にパン粉を使った揚げ物との相性は抜群だ。一気にトンカツソースの消費量が減ったぐらいだ。しかも特別な、本格的な商品を買っているわけではない。そのへんで普通に売られている、一般的なメーカーのものだ。あえて言うなら、あの、かみつかれそうなヤツだ。

 以前から何度も書いているように、僕は料理が趣味だ。だが、いつもこだわりを持って料理しているわけではない。現在市販されている調味料はとてもよくできていて、うまく利用すれば十分納得のいく味を作り出すことができる。例えば、ポークソテーやハンバーグのソースとして、トンカツソースとケチャップを半々に合わせ、肉などを焼いたときに出た肉汁や焦げ付き(と言っても、真っ黒になった物はのぞく)をフライパンの中でこそげ取りながら混ぜ、赤ワインと、隠し味に醤油を垂らして加熱するだけで、なかなか良い感じのソースができあがる。粒マスタードを加えたり、生クリームを加えたりすることによって、バリエーションも楽しめる。勿論、市販のデミグラスソースを少量加えても良い。これは使うソースやケチャップがよくできているからできることなのだと思う。 そんなわけで、今のウスターソースもとてもよくできている。日々改良が加えられてきたに違いない。そういった、企業としては当たり前の努力にあらためて気付かされたのであった。そして今では、我が家の「食」における必須アイテムの一つとなっている。イギリスに美味いものなし、というが、このウスターソースと、もう一つ、これも英国人の発明である「カレー粉」に関してはとても感謝している。