夏といえば怪談 2022 偶然って怖い?
この夏、あのNHKがまた変な番組を放送した。「ホラー短歌の世界へようこそ」だって。よくもまあ、いろいろと考えるものだ。全6夜構成で、放送時間は10分。毎回テーマが決まっていて、第5夜は「画面の中」。様々なモニター画面に現れる怪異を取り上げている。その中で、ネットのフリマに出品されていた瓶詰めの幽霊の話が紹介されていた※。語り手が面白がって問い合わせてみると、「幽霊は家の中の『隙間』に潜んでいるので、粘着テープでとらえる」のだという。まるで「G」みたいじゃないか。それにしても、発想が奇抜で面白い・・・いやいや、本題はそこじゃない。毎回読んでくれている人はもうお気付きですね。少し前にこのブログで紹介した「こっくりさん」の話にも「隙間」が出てきたということに。僕もこれだけならあまり気にもしなかっただろう。しかし、話はこれだけじゃない。この夏、WOWOWで見たホラー映画のタイトルの一つが「隙間女」だったのだ。文字通り、隙間に潜む幽霊の話。こんなこともあるんだねえ。
「こっくりさん」が隙間にいるという話は、ひょんな事から20年ぶりぐらいに思い出して、UPしたのは7月8日。映画「隙間女」は2014年の作品をこの8月(多分18日?)にWOWOWが放送した。NHKの「ホラー短歌の世界へようこそ」は今年初お目見えの番組で、第5夜「画面の中(隙間の幽霊の話)」は8月22日放送。つまり、この1ヶ月ほどの期間に、数十年にわたる時間をまたいで「隙間」に関わる怪異譚が三つ揃った、ということだ。これって、偶然という一言で片付けて良いのかなあ。多分良いんだよね?
話は変わるが、市販されている録画用ブルーレイディスクのほとんどは外国製だって知ってました?国産品は今ではパナソニック製のものだけだと聞いている。僕が普段使っているものも外国製だ。この製品は過去のある時期にやたら不具合があった。おそらく製造ロットにまつわる不具合だろう。録画した映像に突然ブロックノイズが現れ、フリーズしてしまうのだ。最近の製品ではこの症状は改善されているが、ごくたまに同じ症状が出ることがある。ついこの間、このディスクに録画したホラー映画、「シライサン(2020年)」を見ていた時のこと。この映画は僕にとっては久々のヒットで、とくに「シライサン」の姿のおぞましさ(ビジュアル的にはそれほどでもないのに、何だか長く見ていたくない感じ)も良いし、映画では描ききれていない部分(ノベライズあり)まで含めるとわかるのだが、田舎の失われた風習というかタブーが、時を越えて現代社会に生きる人間に災いをもたらすという展開も僕好みだ。実は出てくる化け物が「シライさん」なのではなくて、漢字で書くと「死来山」。化け物はここからやって来るらしい。この化け物が現れるときには鈴の音がどこからともなく聞こえ、絶妙な距離感(10メートルぐらい?)でいつの間にか目前にしゃがみ込んでいる。この「シライサン」を見ていたら突然画面がフリーズした。今までこのディスクがフリーズしたことは1度も無い。しかもそのシーンというのが、薄暗がりの中でしゃがんでいる化け物が、その長い髪の隙間から異様にでかい目でこちらを見ているシーンで、なぜかノイズも皆無。長く見ていたくないのに、よりによってこのシーンでフリーズ・・・まるで自分が次の犠牲者で、化け物に魅入られたような気がしてぞくぞくしてしまった。
こういった偶然性は時に人を恐怖に陥れることがある。昔読んだマンガの主人公が、友人の「偶然ってホント、怖いなあ。」というセリフに答えて曰く、「偶然なら怖くない。」まあ、そういうことなのだろう。さてさて、時を同じくして僕の前に提示された「隙間」というキーワードといい、「シライサン」の化け物がこっちを見ているシーンでフリーズするディスクの不調といい、これは果たして偶然なのでしょうか?それとも違う理由があるのでしょうか?あったら怖いなあ。
※ そう言えば80年代のTVシリーズ、「ヒッチコック劇場(リメイク版)」にも「瓶詰めの魔物」なんてエピソードがあった。何とも薄気味悪くて、よく覚えている。ちなみに今回調べてみたら、なんと原作はかのレイ・ブラッドベリ、演出はティム・バートン!すげえ。