音楽に合う酒
さて、夏。休日の真昼間、何となく聞きたくなるのが、僕の場合ボサノバだ。ド定番の「イパネマの娘」や「ブラジル」なんかを聞いていると、庭に出てキンキンに冷えたカクテルを飲みたくなる(出ないけど)。それもマティーニとかではなくて、少しソフトなマルガリータあたりがいい。フローズン・スタイルのダイキリもいいな。変化球としてはグリーン・アイズなんてのもある。ちなみにこれらのベースはいずれもラムかテキーラいったラテン系の酒。僕はあまり聞かないけど、ハワイアンなんぞを聞きながら、「ブルー・ハワイ」や「マイタイ」などのトロピカル・カクテルだったら、これはこれでドンピシャだろう。
夜は夜でオーソドックスにジャズでも聞きながら、それこそマティーニか、それともバーボン・オンザロックか?ジン・トニックも悪くはないが、これはどちらかというと、演奏が始まる前の前哨戦というイメージだな。あるいは音楽をコンチネンタル・タンゴに変えて、もう一度ラテン系のカクテルでいく手もある。
ついでに言うと、秋にシャンソンを聞きながら…というのならワインもいい。でも今は価格が高騰してるからなあ。同じぐらいの品質だからといって、シャンソンにチリワインではシャレにならないし…。あるいは百歩譲って、同じラテン系だから別にいいじゃんか、という考え方もあるけれど。
これが季節感皆無のブリティッシュ・ハードロックとかなら気軽にビールとかスコッチでもいいんだけど、こうしてあらためて考えてみると、結構難しい。というか、そもそもシャンソンのレコードなんてうちにあったか?もし手元にそれがあるなら、キールもしくはキール・ロワイヤルもアリだな。でもベースとなる白ワインやシャンパンを一晩で使い切るのは、酒豪でもない限り難しいだろうし(開栓したら1日で味が劣化する)、かといってハーフボトルだと、カミさんと二人ではちょっと物足りない。そして悲しいかな、ここでも当然価格の問題がついて回る。高いよお、まともなシャンパンは。
さて、今マイブームになっているロックンロール。実はこれが一番悩ましい。ポニーテールの女の子なんかを思い浮かべると、なぜかクリームソーダしか出てこない。リーゼントのお兄ちゃんでやっとバド(ワイザー)の瓶ビールか。でもバドはあまり好きじゃないんだよな。それにボトルをさがすのが面倒そうだ。これもコロナビール(メキシコのビール。多くが瓶で流通)じゃさまにならんし。いや、ワンチャンありか?ということで調べてみたら、コロナビールの国際的な流通が始まったのは1970年代。あ、だめだ。やっぱり1950年代のロックンロールにはそぐわない。
いろいろ書いたので鼻持ちならない奴だ、と思われたかもしれないけれど、酒を飲むにあたって、こういった文化的な楽しみ方を目指すのもまた一興であろうと、そう言いたかったわけで。でも正直、僕はあまり量のいかない人なので、マティーニなんかをちゃっちゃと飲んだら2~3杯で足がふらつく。かといって、ああいった冷たさが身上のショートカクテル(氷が入っていないので短時間で飲まないと温度が上がる)をじっくり時間をかけて飲むのは邪道だろう。何しろ、「15分以内に三口で飲め」なんて物言いがあるぐらいだもんな。ああ悲しい。けどやっぱり飲みたい。ということで、なんだかんだ言いながら、結局度数の低いマルガリータとかジン・トニックあたりに落ち着くのであった。今まで書いてきたのは、いったい何だったん?